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こころのしずく

こころのしずく

NARUTO 37~38




「こころのしずく」三周年御礼小説リクエスト企画。サソリとデイダラのツーマンセルに、命懸けの任務が下り……。
(サソリとデイダラ仲間もの・シリアス)


『暗い月夜に』(NARUTO37)

「サソリの旦那はさ、やっぱりその本体の姿が似合うよ、うん」
「正確に言えば人傀儡だがな……」
 月明かりもわずかしか届かない森の中、サソリとデイダラは二人歩いていた。これから、暁の活動を妨げようとする敵を狩りにいくのだ。しかし敵は、裏の世界で暗躍する、火影レベルの実力を持つ男らしい。里も国も持たない男。
 名はゾラガ。年は四十代位だと聞いている。だが、そんなことはどうでもよかった。
 男は強い。この任務は死のリスクがあまりに高い。
 関心を持つとすれば、そこだけだ。
「なぁ旦那。アンタは暁抜けたほうがいいんじゃねーのか? うん?」
「何故だ……」
「今夜多分、死ぬぜ? うん……」
 デイダラは、ニヤリと笑う。
「てめー……。オレをなめてんのか?」
「いや……オイラも多分……死ぬな……。うん……」
 デイダラは、フッと笑いをもらした。
「それなら、お前こそ暁を抜けたらどうだ」
 サソリは無表情で前を見たまま、ボソリと言った。
「オイラはアンタとは違う。うん……」
 デイダラは、手の中の起爆粘土を、小さく爆発させてみせた。その煙も、すぐに風にふかれて消えた。
「アンタが求めるのは永遠だ。だけどオイラはそう……こんな風でいい。うん……」
「一瞬、か……」
 サソリは低くつぶやいた。
「それにサソリの旦那、アンタは……」
 その時、森の葉がかすかに揺れた。どうやら敵の方から接近してきたらしい。
「戦闘開始だ。いくぞ!」
「旦那……どうやら逃げ遅れたようだな……。うん……」
「うるせぇ! オレは死なねーよ!」
 二人はバッと左右に飛んだ。
 現れたのはやはりゾラガだった。黒い布に全身を覆われ、声一つ発することもない。ただの、黒い塊……。
 ゾラガとの戦闘が始まり、激しい攻防戦が続いた。
 一時間ほどたっただろうか。暁の二人は追いつめられ、限界まできていた。特にサソリは、核にヒビをいれられ、瀕死の重傷である。
 サソリにとどめをさそうとしたゾラガの前に、デイダラが立ちふさがった。その体を流れるチャクラに、サソリはハッとする。
「てめーまさか……自爆する気か!?」
 サソリは地面に伏したまま、デイダラを見上げる。
「安心しな。旦那は巻き込まねーぜ。うん」
 デイダラは目を異様に光らせ、チャクラをみなぎらせていく。
「てめーは……! オレに恩を売るつもるなのか!? ふざけるなっ!!」
 サソリは怒鳴った。
「おいおい旦那。勘違いしてもらっちゃ困るぜ。オイラは今、すげぇゾクゾクしてんだ! 楽しくて、興奮して、身震いしてんだよ! うん!」
 デイダラのチャクラはますます高まっていく。
「オイラには、芸術さえあればそれでいい。他には何もいらねーんだ。うん。だけどサソリの旦那、アンタは違う……」
 デイダラはサソリに背を向けたまま、語る。
「初めアンタは、芸術の中に、オイラと同じものを求めてるんだと思ってた。破壊することによる、一瞬の美を……。けどアンタが求めてるものは違った。アンタは永遠を……はかなく散る人間の代わりに永遠を……だけど永遠の中で、本当は人のぬくもりを探してる……。違うか? うん?」
「フッ……バカも休み休み言え……」
 サソリは嘲笑う。
「そうかな? ホラ、前に芸術論を交わしただろ? 今夜みてーな暗い月夜に、酒呑みながらさ。アンタ、ほろ酔いながら言ったろ? 初めて作った芸術は、父と母だって。うん……」
 サソリの体が、びくりと揺れた。
「……認めてやるよ旦那。アンタの芸術は綺麗だ。うん。オイラとは違う。オイラはアンタが好きだよ。だから旦那には生きていてほしい。生きて、オイラの最期の芸術を、覚えていてくれよ、うん」
 そして、一瞬だけ振り向いたデイダラは、サソリと目を合わせた。
 デイダラの用意はついに調った。
「見せてやるぜ! オイラの最高芸術! うん――」
「下がれデイダラ!」
「!?」
 サソリの声に反射的にデイダラは退いた。ゾラガの前に猛スピードで襲いかかった黒い傀儡は、ゾラガの体にぶつかり、粉々になりながら瞬発した。ゾラガは最期まで声もなく、倒れた。
「傀儡が……爆発……!?」
 デイダラは呆然と、塵となった傀儡と爆発の煙を見ていた。
「てめーがあちこち落とした起爆粘土を、傀儡に仕込んでやったのさ」
 後ろで、サソリの声が聞こえた。
「デイダラ。オレもお前を認めてやるよ。だからオレの大事な傀儡を爆発させた。それが証拠だ……」
 サソリは、デイダラの背中に語る。
「それに……一人でカッコつけて先走ってんじゃねーよ。言っただろ。オレは死なねーってな……」
 デイダラが振り向くと、サソリは不敵に笑っていた。
「……そりゃよかった。旦那。オイラより先に死なねーでくれよ? さっき、オイラの最高芸術を見てくれるのがアンタで良かったと、本気で思ったんだからよ。オイラが死ぬときは、必ずそばにいてくれよ?」
「そーしてやりてーとこだがな……。オレたちが身を置くのは暁。常に死と隣り合わせだ……。オレたちは確かにツーマンセルだ。だが、もしかしたら、オレとお前は別々なところで死を迎えるかもしれない……」
 デイダラは、静かにサソリを抱き起こした。
「フッ……そんな顔するなデイダラ。そーなったら、地獄からお前の芸術を見ててやるからよ」
「うん……。けどオイラはやっぱり、旦那より後には死なねーからな。だから長生きしてくれよ。うん」
 サソリは返事をせず、けれどデイダラの腕の中で笑った。そのまま空を仰ぎ見る。
「暗くて……いい月夜だな。また酒でも呑みながら、芸術論を交わすか……」
「オイオイ! 組織に帰って治療しねーと。うん……」
「それは後でいい……。今はお前と語り合いたい気分なんだ……。なぁ、デイダラ……」
 デイダラはうなずき、ニッと笑い返した。
 森の葉からわずかにもれる月の光と、暗い闇は、二人を冷たく包み込んだ。



☆あとがき☆
 リクエスト内容「サソリ、デイダラ・仲間もの・シリアス・お任せ」で頂きました。
 サソリもデイダラも書くのは二回目ですが、暁として、シリアスとして書いたのは初めてです。いつも木ノ葉や砂ばかり書いているので、とても貴重な経験をさせてもらいました^^ ありがとうございますo(*^▽^*)o~♪
 暁、敵キャラということで、木ノ葉や砂とはいろいろなところで違うものなのですね! 視点や雰囲気、価値観etc.. さらに二人は芸術家。そしてオトナキャラ同士。それらを考えながら書いてみたら、ダークで冷たくて、それでいてどこか人間らしい愛を求めているような、そんな作品になった気がします。いかがでしたでしょうか…。少しでも気に入っていただければうれしいです。
「こころのしずく」三周年ありがとうございました。
この物語を、金谷美咲様へ捧げます。

☆リクエスト時に頂いたコメントのお返事☆
金谷美咲様へ。
 小説お待たせ致しました。
 いつも小説やアニナル感想などを読んでくださっているとのことで、本当にありがとうございますo(*^▽^*)o~♪
 初めてのリクエストだったのですね^^ うちはそんな緊張するようなサイトじゃないですよー! これからも機会がありましたら、お気軽にリクエストくださるとうれしいです^^
 サソリとデイダラの仲間ものシリアス…正直、確かに初め難しかったです。何を書けばいいんだあああぁー((゚Д゚;))) みたいな・笑 でも同時に、書いたことのない未知の領域だったので、ものすごくワクワクしてましたo(*^▽^*)o~♪  「仲間もの」の解釈がご希望のものと合っているのか心配です^^; 違っていたらすみません;;
 応援のお言葉励みになります! 暁もの、できればこれからも書いていきたいです。
 この度は本当にありがとうございました! 



「こころのしずく」三周年御礼小説リクエスト企画。病院を開院した砂三姉弟は……。(砂三姉弟+ナルト 通常・ギャグ)

注:砂三姉弟のキャラがこわれています。苦手な方はご遠慮ください。


『があたん病院』(NARUTO38)

 砂隠れの里の頂点に立つ風影我愛羅は、今日も退屈していた。毎日机に向かい、書類にハンコをぺったんぺったんと押し続けるだけの毎日である。
「つまらん……」
 そこで我愛羅は暇つぶしに、病院を開院することにした。バキをこきつかい、壁一面にくまさんの絵が描かれた、プリティな病院が建設された。
 さっそく我愛羅は白衣を着込み、聴診器をつけた。医者の椅子に腰掛け、すっかり悦に入っている。
「病院の名は……があたん病院にしよう……」
 患者の椅子に座るくまさんのぬいぐるみに、我愛羅はぼそりと話しかけた。
 その時、テマリとカンクロウがずかずかと病院に入り込んできた。
「我愛羅! お前ってヤツは一人で面白そうなことをたくらみやがって……!」
 白衣に聴診器をさげたテマリが、腰に手を当てて怒った。
「一人だけ楽しもうなんて、そうはいかないじゃん!」
 カンクロウも同じく、白衣に聴診器をさげている。
「……オレがドクターだ。お前等は看護師か受付をやれ……」
 我愛羅はクールに言い放った。
「受付だと!? なんで私らがそんな地味な仕事をしなくてはならないんだ!」
「受付をバカにするな。受付の人というのは、天使のほほえみにより患者の不安を癒すという素晴らしい役目をになっているのだ……」
「そこまで言うなら我愛羅! お前が受付をやれ!」
「オレは地味な受付よりカッコいいドクターがいい……」
「お前言ってること全然違うじゃん! もういいオレがドクターをやる!」
「ドクターは私だ!」
「オレだ……」
 三人はドクターの座をめぐって大げんかを始めた。
 そこへ、任務から帰る途中だったナルトがやってきた。重傷な上、仲間とはぐれてしまったらしい。
「おーい……。オレってば……ぶっ倒れそうだってばよ……。受付の人は~……?」
 入り口から、息も絶え絶えのナルトの声が聞こえる。
「呼んでいるぞ。テマリでもカンクロウでもいいから早く行け……」
「私がドクターだ! 私はお前等の姉だぞ! 我愛羅かカンクロウが行け!」
「オレがドクターじゃん!! 姉弟の真ん中にもたまには華を持たせろ!」
 言い争うこと一時間。とうとうナルトは待ちきれなくて、我愛羅たちのいる診察室へ入っていった。
「お……お前らが医者なのか……?」
 ナルトは入り口でぶっ倒れながらたずねた。
「医者ではない。ドクターだ……」
「どっちでもいいってばよ。それより早く診――」
「ただのドクターではない。”ドクターがあたん”だ……」
 我愛羅はクールに言った。
「……は?」
 ナルトは唖然とする。
「違う! ”ドクターてまりん”だ!」
 テマリはナルトをぎっと見下ろした。
「いや! ”ドクターかんくりょー”じゃん!」
 カンクロウは傀儡をぱかぱか言わせる。
「だ……だれでもいーから……早く診て……」
「よくない!!!」
 三人は叫んだ。
「こうなったらナルト、お前が決めろ!」
 テマリはナルトの胸ぐらをつかんだ。
「だれがドクターにふさわしいじゃん!?」
 カンクロウは今にも傀儡をナルトに襲わせようとしている。
「オレだと答えろ……」
 我愛羅のひょうたんから砂が大量に噴出し、天井を突き破った。
 ナルトはガラガラ崩れる天井の壁に打たれまくり、泣きそうになりながら、じゃあ我愛羅……と答えた。しかし我愛羅は超不満げな表情でナルトに顔をつきつけた。
「我愛羅ではない。ドクターがあたん、だ……」
「は……はい……どくたーがあたん……」
 ナルトは、ついにガクリと気を失った。

 気が付くとナルトは、待合室の椅子に座っていた。医者(ドクターがあたん)のところまでたどり着いたはずなのに、まだ何も手当てをされていない。
「どうなって……るんだってばよ……」
 はぁはぁしながら顔をあげると、受付にテマリが立っていた。めちゃめちゃおっかない顔をしている。
「ものすごく不本意だが、じゃんけんで負けたから受付になってしまった。ちなみに勝った我愛羅はドクターになった」
 先程息も絶え絶えに決めたナルトの選択は、全く意味がなかった。
「残念だったなテマリ……。んじゃ診察頼むってばよ……」
「まだダメだ! 受付をすませろ! それにテマリではない”受付テマリン”だ!」
「は、はぁ……」
 ナルトがうなずくと、テマリは急に天使のほほえみになった。
「さぁナルトくん。私が案内してあ・げ・る!」
「なななななっ! キモッ!」
 ナルトは思いきり後ずさった。
「なんだとせっかく”天使の受付テマリン”が案内してやったというのに!!!」
 テマリは一瞬にしておっかない形相に戻った。ナルトは仰天してその場から逃げ、診察室へと向かった。
 ところが、診察室より一つ前の扉がバンと開き、ナルトは誰かにむんずと腕をひっぱられてその部屋に入れられた。
「……なーっ!!!!!」
 見ると、そこにはピンクの白衣を着たカンクロウが立っていた。しかもズボンではない。スカートをはいているのだ。
「非常に納得いかねーが、じゃんけんで負けたから看護師になったじゃん」
「カッ、カンクロウ……。せめて足のすね毛はタイツとかで隠したほうが……」
「カンクロウじゃねー”看護師かんくりょー”じゃん!!!」
 カンクロウの目は血走っていた。ナルトはこれ以上刺激しないようにと、ガクブル震えながら大人しく椅子に座った。するとカンクロウは、ハッとした顔をした。
「ど……どうしたってば……」
「あら? 口紅が落ちてるじゃないの」
 カンクロウは白衣のポケットから真っ赤な口紅を出し、ぐりぐりと塗り始めた。ナルトはそのおぞましい光景を見て吐きそうになった。
「おまたせっ! さぁお注射しましょうね!」
 しかも女言葉になっているのである。ときどき満足げに、うふっ! と甘い声をあげている。
 ナルトはもう逃げる気力もなく、ぷすっとやられると、ふらふらになりながら診察室へと向かった。カンクロウはものすごい勘違いをしている。看護師は男でもいいんだぞ……とナルトはもうろうとする頭で思った。
 診察室のドアを開けると、我愛羅がくまさんを抱いて座っていた。ナルトは向かいに座る。
「我愛羅……じゃなくって、ドクターがあたん…だっけ? オレってば一刻も早く診てほしいってばよ……」
 ここへきたばっかりにますます悪化したナルトは、今にもぶっ倒れそうだった。
「うむ……座りたまえ……」
 なんだか口調がえらそうである。医者とはそういうものだと思いこんでいるらしい。
「もう座ってるってばよ~」
 すると我愛羅は目を血走らせてバンと机を叩いた。
「初めからやり直せ!」
 どうやら自分の思い通りに事が進まなかったのが気に入らなかったらしい。
 ナルトは、そんな……と、ふらふらしながら、診察室から出た。そしてトントン、とドアをノックする。
「うむ。入れ……」
「こ、こんにちは……。よろしくお願いしますってば……」
 ナルトはなるべく当たりさわりのないように、頑張った。
「うむ……座りたまえ……」
 どうやらこのタイミングでこのセリフを言いたかったらしい。我愛羅はミルクを飲みながら、なんだか満足げだった。
「今日はどうしたのだ……」
 我愛羅は腕組みをして足を組み、たずねた。緊急なんだから早く診てほしいってばよ~とナルトは思ったが、また初めからやり直しさせられたら困るので、怪我の経緯をはなした。
「うむ。どれ……」
 我愛羅は、なんとナルトの脳天に聴診器を当てた。
「なっ、なっ……!」
「なるほど……。なるほど……。うむうむ……」
 我愛羅はナルトの脳天に聴診器を当てまくった。場所が間違っている上に、なんだか超楽しそうである。そしてこう告げた。
「血が出ている……。病院へ行ったほうがいい……」
「だから今来てんじゃねーかよ!!!」
 一瞬にして我愛羅は不機嫌になり、初めからやり直しとなった。
 バカバカしい診察をなんどもやり直しさせられること15回、ようやく治療へ進むことが出来た。
「やっ……やっと……やっと治療に入れる……」
 ナルトは気を失いそうになりながらつぶやいた。
 座るナルトの前に机が置かれた。上には大量の紙が置かれている。
「これにハンコを押すと治る……」
「は?」
 見ると、それは風影がチェックする書類だった。
「これってば……お前の仕事じゃ……」
「お前ではないドクターがあたんだ。故に書類がたまってな……」
「ふざけんなーオレは患者だってばよ!!!」
 我愛羅はふぅと息を吐いた。
「ハンコ押しをバカにするな。この狭く四角い枠の中に、丸いハンコを斜めにならないように押す……これがどれだけ難しくてイライラするかお前に分かるか!!!」
 我愛羅は立ち上がり、わなわなと肩を震わせた。
「いや……分かるけど……治療とどう関係あんの……?」
「良い質問だ……」
 我愛羅は座り直し、ミルクを一口飲んだ。
「上手く押すことが出来るとうれしい……。うれしいと元気になる……。元気になるということは怪我が治るということだ。そうだろう……」
 無茶苦茶な理屈である。だが……。
「そうだったのかーっ! すげー!」
 ナルトは怪我とこの病院のせいで思考回路がおかしくなってきていて、あっさりと信じてしまった。
 そこへ、テマリとカンクロウが現れた。
「手伝ってあげるわ。うふっ!」
「私も天使のほほえみで見守ってあ・げ・る!」
 気持ちの悪い看護師かんくりょーと受付テマリンに囲まれ、ナルトは異常なテンションでハンコを押しまくった。
「はあっ……はあっ……。やっと押し終わったってばよ……」
「うむごくろう……これでオレの仕事がなくなった。ラッキー……」
 我愛羅はとんでもないことを口走ったが、もはやおかしくなっているナルトはそれを正しく認識することが出来なかった。
「では薬を授けよう。これだ……」
 我愛羅はナルトにマグカップを渡した。中身はなみなみとホットミルクが注がれている。
「オレが飲み方の手本を見せてやろう……」
 我愛羅はぬいぐるみのくまさんをぎゅっと抱きしめると、かわいい……とつぶやき、ホットミルクに砂糖を十杯入れ一気に飲み干した。
「さぁこの通りに飲め。くまさんを抱くところが特に大事だ……。かわいいと心でささやくのも忘れるな……」
「うん……」
 ナルトはぼんやりしながら、受け取ったくまさんを抱きしめた。
「そうではない! 愛が足りない! くまさん大好きと百回言え!!!」
「……くまさんだいすき……くまさんだいすき……くまたんだいすき……くままんだいうき……」
 ナルトはたびたび意識が飛ぶ中、うわごとのように繰り返し、とうとう百回言った。そして震える手で砂糖を十杯入れ、飲んだ。
「激甘!!!!!」
 ナルトは今度こそ、完全に気を失った。
「テマリ、カンクロウ、何をしている……。倒れている人を見たら医者に診せるのが常識だろう……」
「お前が医者じゃん!!」
「何を言う……。オレは風影我愛羅だ……」
「なんだとコラ! 書類が終わったからってあっさり風影に戻りやがって……!」
「違う……。病院はつまらん……。次はケーキ屋さんにする……」
「風影に戻ったって言ったじゃん!!」
「ケーキ屋さんならシェフは私だ!」
「いやオレじゃん!!」
「オレだ……」
 三人はまたも大げんかを始めた。ナルトは倒れたまま、完全に放置されていた。

 木ノ葉病院。
「ナルトは傷の具合よりも……」
 ベッドでうなされ続けるナルトの横で、綱手は不可解な顔をした。
「精神的におかしくなっている。何故だろう……」
 綱手には、その疑問を解くことが出来なかった。
 ナルトはときどき、ミルク……だの、があたん……だの、うふ……だの、あ・げ・る……などと、うわごとのように繰り返していた。

 数日後。砂隠れの里でケーキを買った者たちが、なぜかナルトと同じ症状になり、木ノ葉病院に運ばれてきたのであった。



☆あとがき☆
 リクエスト内容「ナルト、我愛羅、テマリ、カンクロウ・通常・ギャグ・喧嘩をする砂三姉弟にナルトが巻き込まれる(概略)」で頂きました。
 初めに、管理人が書くギャグってこんなですが……大丈夫だったでしょうか;; 多分他の小説を読んでくださってのリクエストだと勝手に信じて書いてしまいましたが、受け付けなかったらスミマセン;;
 砂三姉弟ギャグものは大好きで、前によく書いていたのですが、最近はなかなか書く機会がなくて……。なので今回、書かせてもらえてとてもうれしいですo(*^▽^*)o~♪
 我愛羅にはくまさんとミルクがはずせませんw それに「があたん」もw
 原作での姉弟は、仲悪そうで実際すっごく仲良しなところが大好きです(*^_^*)
 作中では、最後までナルトがかわいそうでしたね^^; ナルトごめんね……^^; でもギャグは久々でしたし、書いていて本当に楽しかったです。少しでもいっしょに楽しんでいただけたならうれしいですv
「こころのしずく」三周年ありがとうございました。
この物語を、矢倉章恵様へ捧げます。

☆リクエスト時に頂いたコメントのお返事☆
矢倉章恵様へ。
 小説お待たせ致しました。
 応援のお言葉ありがとうございますo(*^▽^*)o~♪  とても励みになります(*^_^*)
 この度は本当にありがとうございました!






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